2011年12月06日

1206:百田尚樹:幸福な生活

12/06 天気/晴れ 気温/晴れていて少し温かい、朝夕は冷え込むけど

本(ホン)の感想
百田尚樹:幸福な生活
幸福な生活

会社の先輩が貸してくださった本。
百田尚樹は初見だ。
この本はショートショートの短編集になっている。
コンセプトは最後の1行で衝撃的な結末を迎える構成になっている。
平和な家庭で何気ない日常が、最後の1行で、、、、
何篇か読み進むと、作者の姑息とも思えるシナリオが鼻についてくる。
なぜかな?プロットもストーリーも洗練されていて、
最後の落とし具合も申し分ないのだが。
但し、2〜3編読むと、およそ落ちの察しがつくようになる。
御丁寧に、ページをめくった次にたった1行で結末を見せる趣向。

読んでいる時から気になっていたが、
これは、星新一のショートショートだ。
ただストーリーテーマが日常的なものに置かれているので、
情景を思い浮かべやすくなっている。
だからこそ、意外な結末に驚くのだが、そこが不快に感じる。

星新一のショートショートを想起させ、
大人版グリム童話のようなダークな雰囲気を感じさせる。
必ず最後は人間の内面をえぐるような結末を見せるので、
全く持って楽しめない。
確かに最後は、「おおっ、こうなるのか。」と驚きを感じるが、
そのにごった水を飲まされたような感覚に、味わうような余韻は全く無い。

星新一のショートの中で最も好きな話は、「午後の恐竜」だ。
ある朝、世界中で幻のような風景が現れる。
それは太古の地球の風景の様に見える。
それは時間を経るにつれて、次第に変化していき、
ついには恐竜が歩き始める。
庭先をティラノザウルスや、プロントザウルスがのしのしと歩き回っている。
その恐竜達は家の中に入ってくるというか、通り抜けていく。
そう、幻のなのだ。
主人公は自宅の窓から息子と一緒に、この不思議な風景を眺めている。
夕方になると、幻の景色は次第に現代に近づいてきた。
子供が主人公に「ねぇ、この幻が今に追いついたらどうなるの?」と聞く。
「さぁ、どうなるんだろうねぇ〜」と主人公。
この穏やかな景色の描写をさえぎって、
ある軍事施設から核ミサイルが発射される所が描かれる。
それは、核戦争の幕開けとなるミサイルだった。
そう、この幻は地球が滅ぶ前に見ている、地球自身の走馬灯だったのだ。

この話も暗い結末を見せるのだが、
そこには夢があり、想像力を働かせる情景があり、
子供が読んでも得られる教訓がある。
故に普遍的な好評価を得られるのだと思う。

百田尚樹のショートは、恐がらせるだけのビックリハウスであって、
人に対する優しさや、愛情が感じられない。
この違いなのか?
最終話でこれまでの暗い結末を裏切って、
星新一のようにハッピーになれる結末を描いていれば、
高い評価をしたのだが、最後まで暗かった。
もう一ひねり欲しかった。