1/17 天気/晴れ? 気温/寒い?
風邪引いた。

下町ロケット 著者:池井戸 潤
直木賞受賞
下町ロケット
日本の純国産H2Aロケット。数度の失敗を経て順調にその成果を築いている最中。
このロケットを製作しているのは、三菱重工。
しかし、ロケット先端のフェアリングや、ブースターいわゆるロケットエンジンを支えているコア技術に、日本の中小企業の職人的技術が大いに役立っているという事実。
日本のロケット開発は、第二次大戦後に航空開発技術をすべて失った所から始まり、有名な糸川英夫教授のペンシルロケットを基点とした苦難の道のりだ。
そもそもロケット技術は戦前にフォン・ブラウン博士が開発した技術が全ての祖となっている。ロンドンを攻撃したドイツのV-2ロケット(液体燃料ロケット)が一つの実績。
戦後はアメリカに亡命して、サターンVロケットエンジンを開発し、NASAのアポロ計画の推進に寄与した。大きな資本を背景に推し進めるアメリカと日本の開発の開きは途方もない物があるが、何事も一歩を踏み出さない限り始まらない。
日本の最初の実用ロケットはN1と呼ばれ、ロケットエンジンはアメリカから買って来て使った。故にエンジン技術は全く無い状況。しかし、数度の失敗においてエンジンが原因と考えられても、その調査さえも出来ない状況に限界を感じて、純国産ロケとエンジンの開発がスタートしたことは、ちょっと調べるとどこにでも書いてある事実。
こういう背景を理解した上でこの本を読むと、感動も又違います。
僕は宇宙開発の話が好きで、同時に前述したロケット開発の話も大好きで、その歴史を随分と読んでいる。特に日本のH型ロケットの開発話は有名。

さて、あらすじは置いておくとして、予備知識があれば、この話の結末はおのずと予測することが出来ます。しかし、それでも幾度も涙します。
なんだろうねぇ、やはり日本人なので浪花節に弱いのか?
努力する姿に弱いのか?

最初の100頁ぐらいは、中小企業経営、特許訴訟、従業員との軋轢が丹念に描かれます。話が動くのは中盤から。
一気に話が回り始めますが、やはり山あり谷ありの展開。
最後の結末は予測された通りの内容なんですが、やっぱり感動します。

こういうゆるぎない技術を一つ一つ積み重ねていく緻密さに、日本人すげ〜な〜と感動します。一つのことに精通すると言う強さ。

最近、素人大臣ばかりで、こういう日本の優れた技術をきちんと守れるのか?
非常に不安です。
日本の技術は何も、職人技ばかりではない、国際特許に値する技術も多い。
しかし、日本の政府の将来性を欠いた政治に、研究者が見切りをつけてどんどん、研究の場を外国に移している。
政治家達よ、お前達は税金を何に使っているのだ?
政党政治は古い。信念をもって事にあたれる議員は居ないものか?
と言うことを考えてしまった。
ところで、国産技術でロケットを飛ばす事が出来るようになると、
核弾頭ロケットも可能。
H2Aなら低高度LEO300kmなら10t、SEOでも4tを打ち上げる事が出来る。
現在の核弾頭の重量が約3tなので、余裕ですね。
肝心の核弾頭製造についても、材料は腐るほどあるので、
起爆装置の開発ができれば核武装も可能でしょう。
諸外国が日本を潜在的核保有国として認識する根拠としては充分なスペックですね。
でも、実際に武装しなくてもその能力を有していると言う事実だけで、
充分な抑止力になっていると思います。
が、実際はそう簡単ではない。
核兵器の開発には3年以上、2000億円以上掛かると試算されているので、
攻撃されてから、やおら兵器製造をおこなっても間に合いませんし、
実際、核実験する場所も無い訳ですから、開発は困難でしょうね。

福島原発で明らかになった事実。
人類は原子力のコントロールを完全に出来ない。
コントロールできない技術を技術と言うのか?
やはり核兵器は無用だし、原子力活用も再検討すべきだと思う。

核開発とか言う前に、政治力を高める方が可及的且つ迅速な課題と思う。
あ、話がずれましたが、ロケット技術はこれからのインフラにおいて、
衛星活用が重要になるので、かならず必要になる。
それは国民に還元される技術だ。
こういうことに税金を使って欲しいね。