0223 天気/晴れ 快晴 気温/まだまだ寒い

借りて見たのでレビュー
実はこの原作本は読んでます。
原作と言うより台本を読みやすくして出したような本だった。

全編を通して感じる社会性の欠如
率直な感想:★★★☆☆(星三つ)
ookami kodomo
おおかみおとこという存在を中心に語るので、社会のルールを無視して話を進められると、
あまりにも現実感が無く感動できない。

以下ネタバレと突っ込みどころ
主人公の花がおおかみおとこと大学で出会ってつきあうようになり、彼の正体を知る。
その上で結ばれて身ごもるのだが、ここから先がおとぎ話になっていく。
まず、自宅で二人きりで自然分娩で出産する。
出来ない事はない。現実に佐賀の県境の山奥に住む知人の奥さんは、
産院に行くタイミングを失い、旦那が不在の中、一人で出産するという偉業を成している。
花が自宅で出産する方法を選んだのは、生まれる子供がおおかみの姿をしていたら、
と言う事を心配しての事だ。それは彼が生まれた時の事を聞けば、
ちゃんと人間の姿をして生まれると言う事はわかったはずだ。
彼が時々おおかみの姿で狩りをして、妊娠中の花に滋養のつく物として、雉を採ってくる。
舞台は東京。
雉?千葉の山か、奥多摩ぐらいしかいないんじゃない?
というか、ちゃんと働いて給与を得ているのになぜ?狩猟本能のなせる技なのかな?
二人も出産するのだが、出生届を出している形跡が無い。
出生後の定期検診もまったく受けない。
もちろん、普通の人間の子供ではないからなんだろうが、
この辺の出生届の処理の悪さが最後までもやもやとして引きずる。
途中、監査員が育児状況の確認をさせろとやってくる所を見ると、
届け出しているというより、通報されたのでは?と思ってしまう。
その後小学校に入るので、戸籍はあるようだ。

彼が死んでから花は一切働いていない。
育児でそれどころではないからだが、生活費はどうしているの?
劇中では彼の貯金を切り崩して生活をしている事になっている。
そうそう、彼はある日、おおかみの姿で用水路で死んでいる所を発見され、
ゴミ回収車に積まれて去ってしまう。
彼は運送会社で働いていたので、失踪扱いになっているはず。
同居を始め住所を花のアパートに移していたはずだから、
急に会社に来なくなって会社の人からなんの連絡も無いとか変じゃない?
アルバイトだったのか?それでも、急に来なくなって連絡の一つもないとは。
運転免許を持っていたから、住所が無ければならないはずなんだが。

子供が成長して、時々おおかみの姿になってあばれるので、
大家からペットを飼っていると言われ、住みづらくなり山奥の過疎村に引越す。
廃墟の様な旧家を借りて住むようになるのだが、
とうてい一人では修復できないような荒れ具合。
少しずつ修理していく様を描いているが、女性の力でその修復は。
本格的な大工仕事が必要。花にそんな能力があるとは思えない。

これ以上書き連ねても意味無いので、以後省略。

しかし、花の生き様や、雪の思春期は見ていてほほえましい。
山奥に引っ越してからの背景美術はすばらしい物がある。
CGと手書きの中間という感じが、主人公たちとうまくマッチングしている。
遠近感の出し方などまるで写真のようだ。
雨の降り方、滝の様子、雪の林の描写、トンボの飛び方、
雨どいから漏れる雨水、特にこの辺りが素晴らしい。
ぜひ、見るべきだ。

物語の終わり方は唐突で、消化不良だ。
雨はおおかみとなって山に行ってしまう。
これまで、村の人にかわいがってもらっていた10歳の男の子が突然いなくなるわけだから、
それは大きな問題となるはずだが、ここも未処理。
いったいどうなった?とこっちが心配する。

おまけ
山奥に移り住んだ花が、家の前の荒れた畑を耕して苦労する場面がある。
夏のさなかに、麦藁帽子に、ピンクのサマーニット、ローライズのデニム。
しゃがんで草をむしるシーンがあるが、背中が見えてパンツもみえそう、
ニットは胸のラインが強調されて、農作業にまったくふさわしくない服装をしている。
いくら都会から移り住んだからといっても、それは無いだろう。と思った。
この感想を書くにあたって、ネットの情報を調べたら、細田監督のわざわざの指定だった。
花にもんぺを着せたくなかったらしい。
汗をかいて畑を耕し、豊穣を祈るにはエロスが必要なんだ!そうだ。
やっぱりよくわからん。
ということで、細田監督の好みで全編貫き通したアニメです。
宮崎駿を目指している訳ではない!=説明不足も味の内 らしいです。